6年生。私の話を聞いて、私より深い受け取り方をしてるんよね。

−へえ。

ある国にねえ、顔にペッて唾をかける挨拶があるわけよ。「心を開く」ていう意味でね。でも実はそうやって、自分の心を開くんよ。いろんな国にいろんな挨拶があるけど、みんな一緒だね。「おのれの心」を開くってことだよ。そういう話しとかしてねえ。

−子供の方が純粋ですよね。

そう。純粋だから物が見えてるんだね。あのねえ・・・話がとんでる、とんでる。(そういいながらまた奥へ走って行く。すぐ戻ってくる)この前、高校1年の入学式の挨拶で、行き当たりばったりだったんだけど、これ(小学校1年生の詩集を手に持って)を読んだんだよ。みんなこういう道を通り越してるんだから、白紙になって高校生活を送ってほしいって。まだ戻れるって言ってね。もう大学になったら戻れんけえねえ。そしたらねえ、喜んでくれたよ。たとえばねえ、こんな詩があるんだよ。「お父さんは米屋なのに、朝、パンを食べる」

−あっはっはっは。ははは。(爆笑)

すごいやろ、すごい矛盾しとるんじゃよ、子供には。

−大人じゃ、気付きませんよね。

「セールスマンが来た。『赤ちゃんが病気だから帰ってください。』とお母ちゃんが言った。『そんならお大事に。』と言ってセ−ルスマンが帰っていった。うちには赤ちゃんおらへんのに。」

−ほお。

これも好きだな。「参観日の日、学校から帰ったらお母さんに、『答えがわかったときは自信を持ってしっかり手を挙げなさい』と言われました。これからは自信を持って答えようと思いました。先生『自信』ってなんですか。」

−あはははは(笑)

こういう心を持ち続けるってことだろうね。というか、こういうことに帰っていくってことだろうね。「無我」をトコトンつきとめていくと、ここへ戻ってくると思うね。だから、この前PTA総会でね、「お母さんよりも子供の方がずっとお母さんが見えてますよ。」って言ったんだよ。どうしてかっていうとね、利害関係がないからね。素直さっていうかね。旅の話から、とんでもないところに来たよね。

−あはは。旅の話もしないと・・・和尚さんは具体的にはどのくらいの国を廻られたんですか。

70くらいかな。

−おお。まだ行かれてない国っていうのは。

南極、北極。それから、オーストラリア。

−それだけ廻られて、「人間とは何々だ」とかって思われましたか。

同じだね。それぞれの面をかぶって、それぞれの生き方をしている。その面って言うのは「言葉」であり、「文化」であり、「肌の色」であり。

−70ヶ国廻られて、これだけは知っておいたほうがいいっていうことは何かありますか。

物に感動する心ですかねえ。いろんな想いだよ。それから、旅っていうのはいい人との出会いだよね。いやな出会いをしたらその国全部を否定したくなるもんね。25年くらいまえにねえ、ソ連をひとり旅をしたんだよねえ。そしたら、私の切符は日にちが違ってたのかな。駅員に言っても誰も責任をとらないんだよ。そしたら、汽車に乗れんのだよ。その日にわかったんよ、駅に行って。よその国だったら明日取り換えればいいんだけど、共産圏の国だから、とんでもないことになると、肌でわかるわけよ。この汽車でこの国を脱出しないと、ビザも切れるし。それでその汽車に飛び乗ったわけよ。そしたら駅員も追ってくる。発車寸前に他のところから飛び乗った。もう動き出して、どこにも止まらないから、国境を越えて。汽車の中でも逃げてね。そしたら日本の団体がおって、そこに紛れ込んだんだよ。もう汽車は相当動き出したから、心配はいらん。

−和尚さんは言葉はどれくらい・・・


言葉はねえ、英語しかだめだねえ。英語でも"I love you"だけだからねえ。

−かえっていいかもしれないですね。(笑)

言葉は通じん通じん。でも、いろいろ言いあいはせにゃあならんけえねえ。日本語でいうわけよ、もうねえ、通じんから。「英語でしゃべってんのか。」っていうから「英語でしゃべってる」って日本語で言うとねえ、"very good"って言うよ。

−あははは。(笑)

これも旅よ。日本語が全く通じん、日本の考え方、価値観の違い、そういうものの中に自分をおいておくと、そういうことが生まれるわけ。そのことで、自分と出会うしね。「おお、こんないい加減な自分がいたのか」ってね。しかし、あいつもいい加減だなって。そういえば、アフリカの真ん中で・・・また飛ぶよ(そういってまた立ち上がる。本の写真を見せて)これなんかねえ、今歩いているところがケニアよ。これがエチオピアよ。ここが川になるわけよ。で、雨期にはいる前にここに入らにゃならんから、急いだわけよ。ところが、ここにたどり着く前に一週間ぐらいヒッチしたんかねえ。とうとう来んでねえ。「ヤベロ」っていう村で、この連中と金を出しあってねえ、その村に一台あるジープを借りてね。動物が出るから、ライフル銃を持った男を雇ってねえ。そして国境越えをやったわけ。このイスラエルの男3人とアメリカの男。そしてヒッチするのにねえ、「おい、今日は日本の当番だぞ。」って僕が行くわけ。一日中するわけよ。「おい、今日はイスラエル。」って言って、イスラエルが行くわけよ。国が代表で行 くわけよ。一週間もやってたら、みんな仲間って感じ、こうなったら。言葉は通じんけど、みんな親しいなるわねえ。で、このイスラエルの3人はいい男たちだったねえ。「おい、昭道。お前はこうやって自由に旅してるけどねえ、本当の自由はわかってない」って言ったよ。「俺たちは、イスラエル人だ。常に戦場の身にある。いついろんなものに命をねらわれるか、わからんから三人で旅してるんだ。そういう中で旅してると自由のすばらしさがわかるんだ」って。「お前は、束縛がないから、本当の自由はわからないよ。」っていわれた。ウーンってうなったね。そう思う。命を懸けて彼らはねえ、いろんな国には行けんからねえ。ところがねえ、当時、日本人はいろんなところに行けた。日本はそういう意味で世界的に安定していた。バランスがとれてるということは大切だねえ。バランスは平和だねえ。

−核兵器の平和については?

つづく