−核兵器の平和については?

人間はおろかですよ。自分たちの開発した物でね、自分たちが怯えて。動物はそういうことはせんよ。

−仏教の方は、核兵器の「か」の字もだめかと思っていました。

そりゃ、ない方がいいよ。それは前提。

−現実的だなあ。

仏教は「生きる」ってことだから、死んでから先のことじゃない。それが過去をつくり、現在をつくってるんだから。刹那の中に現在・過去・未来を見ていくっていうかねえ。その連続なわけよ。それが今の結果よ、世界の。

−そうですね。ところで、ちょっと話は変わりますが・・・(笑)

あはは、変わろう。(笑)

−動物の話で、何かおもしろい話はありませんか。

あるある。キリマンジャロでねえ、降りるとき黒豹に出会ってねえ。その瞬間ねえ、命かけたよ。「うわあ!!」って言ったよ、黒豹に。そしたら向こうが出会いの瞬間にびっくりして逃げたよねえ。

−あはははは。(笑)

逃げたあと腰抜かしたよ、私は。初めて腰抜かした。それから、自然動物園の中で、九州ぐらいの大きさがあるからねえ、そこで寝るところがなくてねえ。そしたら夜中にたたき起こされたわけよ、住人に。そしたら目の前をアフリカ象がねえ、玄関の前のバナナをなぎ倒して食べてるわけ。「お前たちは死ぬ気か。」ってね。まあ、そのおかげでその人たちの家の中で寝れたんだけどねえ。おいしい物を食べさせてくれて。あと、馬鹿なことをしたもんだが、「秋山」って男だったかな。今、北海道で牧場してるよ。牧場つくるのを夢みてた男でねえ。その「秋山」さんとねえ、他にもおったんじゃけど、誰が象に一番近づくかっていう馬鹿なことをしたよ。親子の象がいるわけ。

−危ないですねえ。

危ないねえ。速いよ、象は。そんなこともしたねえ。あと、法政大学の探検部の男はねえ、川なんかで遊んでたから、虫が体に卵産みつけてるわけねえ。風土病っていうかねえ。それが体に出てくるわけよ。プクって豆みたいに。それを剥いで、出してねえ。

−うわあ・・・

まだ生きてるからねえ。あれが血液の中に入ったらだめでしょうねえ。幸い、出てくるやつだったからねえ。針を持っていってねえ。

−すごいなあ、体験が違う。

他にもねえ、アフリカのど真ん中から海岸線まで汽車に乗ったときに、魚の燻製を売りにくるわけよ。それ食べんとカルシウムがとれんから、買うわけよ。安いしね、4,5匹。で、食べるわけね。もったいないから、次の日にとっとくわけ。次の日食べようと思ったら、ウジがわいてるわけ。「うわあ」って捨てると、拾って食べるわけよ、子供たちが。「体ってすごいなあ」って、そういうの食べとっても、胃酸が強いからねえ、ウジ虫を殺してくれる。そうすると体を拝みたくなる。すごいよ。それに、停車時間の長い駅ではちょうどクソしたくなるけねえ。

−いい具合に。(笑)

だから・・・何の話からこうなったんかね。(笑)旅っていうのはいろんな事に出会うよねえ。自分の体にも出会っていくっていうか。それから親が好き嫌いないように育ててくれたっていうのもありがたいよ。何でも食べれた。ただねえ、エチオピアとケニアの国境あたりの飯っていうのはねえ、激辛っていうかねえ。辛い!唐辛子の粉で炊いてるんだから。

−うわあ。

真っ赤よ、鳥の肉かなんか知らんけどねえ。どこ行ってもそれしかない。バナナの青いのを干して粉にしてねえ、そしてそれを水にして溶かしてパンにしてねえ。それと一緒に食べるともう激辛。ハアハアハアハアって。食べるのが苦になったのはそれが初めてだねえ。

−インドとかはどうでした。

最初は辛かったけどねえ。帰りは甘い。

−甘いんですか。

甘いっていったら語弊があるかねえ。もっと辛いのを体験したからねえ。だから人間ねえ、本当に苦労した人は強いはずよ。

−そりゃあ、確かに。

そうよ。だから、みんなのおじいちゃん、おばあちゃんは強いはずよ。第二次世界大戦でねえ、生きるか死ぬか。これ以下の生活がないってところまでいく。これを「落ち着く」っていうんよ。これ以上落ちんっていうこと。

−ああ、そうかあ。(感心)

だから、自分の欲とか醜い心とかをいろいろ感じるとねえ、落ち着くよ。俺以上の悪人はおらんと思うとねえ。見栄とか持っちゃうと、落ち着かんよ。ビリの人間は落ち着いとるじゃろ。ましてや、上がる喜びがある。これが、戦後の日本経済を支えたんじゃね。これ以上落ちんっていうところから、這い上がっていったんじゃね。だから、発展途上国の方がたくさんのことを学ぶねえ。どうしてかっていうと、生きるっていうことに接するよ。

−豊かな生き方とそうでない生き方はどっちがいいんでしょうか。

つづく