−生と死というものはいろんなところで関わってくるもので、例えばペットを飼った時点で「生」に手に入れて、それを育てていく終わりに「死」が待ってるわけですね。最近、それをテーマにした「た○ごっち」というのがありますが、どうお考えですか。

「命」っていうのは痛みってものがあるべきでしょうね。それは、機械じゃ感じないよね。こういうものが流行るっていうことは、すばらしいことなんだよね。出発点においては命を求めてる。でもそれは、命から遠ざかっているってことなんよ。我々の周りには様々な命のふれあいがあったわけだ。だからそういうのを必要としなかったわけ。

−虚栄の中に命を求めているところがあるわけですね。

そう。

−その最たるものが、バーチャルリアリティーだと思うのですが、それもよくないものでしょうか。

と思いますね。やっぱりねえ、本物に接せんと。疑似じゃだめ。私の先生が言ってたんだけど「本物にたくさん出会いなさい。そしたら、おのずから偽物がわかる。いくら偽物に出会っても、本物はわからない。」って。

−わからないですね。

疑似じゃ何の力にもならん。本物に出会ったときにその方法がわからんから。

−そういうものも旅の中で見つけていくことができると?

見つけるんじゃなくて、否応なしに体験できる。あのねえ・・・(そういって、奥へ走っていく。ある本を手にして)話は変わるけど、去年ねえ、宮崎でねえ、70何億だかかけて図書館と文化ホールと美術館をつくったんですよ。それを記念して、宮崎県に関したいろんな本を発掘したわけね。「21世紀の子供たちに伝えていく宮崎の100冊の本」っていって、1万冊ぐらいの中から100冊選んだわけよ。それにこれが選ばれたわけよ。100冊の中に。旅の情報じゃなくて人々との出会いを書いたからだろうねえ。ごめんね、自慢して。

−いえいえ。(笑)

いや、うれしかったんよ。ていうのはねえ、私は子供に夢を持たしたかったわけよ。夢っていうのはねえ、持たにゃあいかん。大きな力になる。あんたたちも持ちなさいよ。

−はい。

私の父親はねえ、「棒ほど願うて、針ほどしかかなわん人生だ」って言ってたよ。今になって思うよ、私はねえ、世界一周の夢は持つべきではなかったって。やっぱり、宇宙に行く夢持たなあかんかった。叶うてしまったから、世界一周が。

−ほお。

でねえ、私がこの本を書いたきっかけはねえ、この人の本と出会ったからなんですよ。この人の本も選ばれて、なおうれしかったよ。岩城正太郎っていう宮崎に観光をつくった人なんですよ。この人がねえ、「無人灯(むじんとう)」っていう本を書いてるんですよ。仏教を基盤として生きた人ですよ。僕は死ぬまでにこんな本を書きたいと思ったんですよ。僕は自分の本ができて、一番先にこの人に持っていったよ。「本をありがとう。今64ページまで読んでます。今から、残りを今夜読むのが楽しみです。」って。人を育てるってこういうことよ。私は今でも持ってるよ、その手紙。感動してね。だから、私はテングになれんよ。どんな事しても。たかが、このくらいでって。それはやっぱり、いい人との出会いだねえ。すごい人が、私のような青二才を大切にしてくれたっていう、その出会いが、子供に夢を与えていきたいって思わせたんだねえ。

−へえ。

こんな事のために持ってきたんじゃなかった。(そういって、『聖なる国々の姿(鉱脈社)』にある、3人の顔写真を見せて。)これ私よ、3人とも。

−え?全部ですか!?

別人よ。それは大切なことでねえ。環境が変わると人相が変わるってことよ。

−これは、環境がよくなった顔なんですか。(笑)

そうでもないけどねえ。(笑)アフリカ、インド、ヨーロッパで写った顔だけどねえ。


−あ、これは国が違うんですか?どれがどれですか?

これ(左)、ヨーロッパだねえ。

−そうですねえ。

で、これ(右)がインドだねえ。これ(中)がアフリカ。

−あは!(大笑)なるほど、わかりますねえ。

動物が多いとねえ、カモフラージュせにゃいかんのよ、同じ動物よ。面白いよ、環境って。ただ、麻原彰晃に似とるって言われるんよ。

−ははははは。(笑)

困ったもんじゃ。あとねえ、家庭の環境って大切よ。感謝よ。(そのとき、奥さんがコーヒーを持ってきてくれる。)

−どうもありがとうございます。

こういう話を聞いてくれる人がおらんもんじゃけえ、つい脱線ばっかりして(奥さんに)。馬鹿な話しばっかり。(笑)

−でも、面白いですよ。

ある国でねえ、ライトバンを改造してみんなで色んな国を旅してたらしくてねえ、それをちょうどヒッチしたんよ。ガソリン代みんなで払うからって言ってねえ、旅を始めたわけよ。で、あの辺はアドリア海かな、イタリア対岸はイタリアやけどねえ。そこで泳ぐとねえ、みんな真っ裸で泳ぐわけよ女の子がねえ。感動したよ。

−ははっはは。(笑)

そういう雰囲気なんじゃわ、大自然の中で。そしてねえ、あのときはそれぞれカップルが出来たんかなあ。でも、ひとり女の子が余ったわけよねえ。僕は途中からヒッチしたから、その子と仕方なしに・・・仕方なしっていったら無礼やけど。(笑)あの、チキンっていうあだ名だったよ。

−チキン?

つづく