シュヴァルの理想宮
人は夢を見る生き物である。そして、その究極は眠りながら見る、現実とはおよそかけ離れた夢であると思う。周囲の心、物をわがものにして繰り広げられる夢、これを具現化した建造物がそこにはあった。
年間数千人の観光客が訪れるこの建造物は、見学に来た子供たちにとって、公園にも似た遊び場になっているようだ。そんな中、その全体を見ると、さまざまな思想が歴史上ありえない融和にたどり着き、完成度の高い芸術作品となっていることを肌で感じることができる。
オートリーブスという、名もなき小さな村の郵便局員だったシュヴァル。100年前、この男が作り上げたこの建造物は、その思いを映して「理想宮」と呼ばれている。そして、その偉業の証として、彼の胸像が、この小さな村の郵便局前に飾られている。

『私は農民の息子として生き抜きたい。
農民階層の中にも活力あふれる天才が存在することを証明するために。
29年の間、農村地帯の郵便配達夫として私は勤めた。
仕事が私の唯一の誇り、名誉が私の唯一の幸福。
私の不思議な物語が完結する。
40年後、夢が実現し、現実となる。』
1905年3月15日
Fernand Cheval