ITコーディネータ

 「ITコーディネータ」という職種。まだ聞き馴染みがないかもしれません。これは今年から始まった新しいIT資格制度です。ITコーディネータの役割は、
・大企業・中小企業のIT活用を推進
・経営とI Tの橋渡し
です。こうした役割は、「ソリューションサービス」とも呼ばれます。

 しかし、目に見えないソリューションに対価を払う習慣がない日本では、ITコーディネータを仕事として認知させ、市場を開拓することが、まずは課題となっています。そのために、通産省は非営利団体「ITコーディネータ協会」を設立し、ITコーディネータという資格制度を今年からスタートさせました。資格制度の中で、ITコーディネータは次のように定義されています。

「経営者の立場に立って経営とITを橋渡しし、真に経営に役立つIT投資を推進支援するプロフェッショナルである」

 では、この資格が生まれるに至った経緯をお話ししましょう。
 1999年6月、通産省産業構造製作審議会・中間報告「戦略的情報化投資による経済再生を考える」の中で、「CSO(情報化戦略投資)の徹底支援」と「ITコーディネータの育成」が謳われました。「失われた十年」を経た現在、日本の国際競争力は1位から26位に一気に転落し、また700兆円という債務を抱えてしまいました。これは、OECD国の中では、最悪の債務です。かたやITにおいても後進国となってしまったのです。
 これを背景に、政府は今年1月発表したe−Japan戦略の中で、以下のように述べています。
「我が国のIT革命への取組みは大きな遅れをとっている。インターネットの普及率は、主要国の中で最低レベルにあり、アジア・太平洋地域においても決して先進国であるとはいえない。....変化の速度が極めて速い中で、現在の遅れが将来取り返しのつかない競争力格差を生み出すことにつながることを我々は認識する必要がある。」と。
 政府がパブリックコメントの中で、政策の失敗を認めたともとれるコメントをすることは極めて異例です。そして、この低迷した現状を打破し、日本経済再生・競争力強化の切り札として政府が強力に推進しているのが、「ITコーディネータと呼ばれる」仕事なわけです。

 当然、民間企業でもこうしたIT人材育成の動きは活発です。特に、高失業率時代にありながら供給が需要に追いつかないのが、「WEBプロデューサー」という職種です。彼らの仕事は、
・企業内の様々な部署からのWEB化の要望を調整
・WEB開発会社へ的確な意志伝達
・WEBサイト全体の企画統括
です。業務知識・コミュニケーション能力・システム知識・ITへの好奇心など様々な能力が必要とされます。
 ほとんどの大企業がWEBサイトを持ち、eビジネスが叫ばれる中、こうした仕事の必要性が認識されながらも、どの部署が所管すべきか、どうやって人材を育てたら良いのか、試行錯誤しているのが現状でしょうが、そんな中、少しずつ企業は動き始めています。シープロドというベンチャー企業は、こうしたWEBプロデューサーの人材派遣業を始めています。また、オンザ・エッヂとキノトロープ(セブンイレブンのWEBサイトを製作している会社)は、WEBプロデューサーの養成機関として、合弁で「イノベーションラボラトリー」という会社を先月設立しました。IT後進国の日本にとって今年は、ブロードバンド元年であるとともに、IT人材育成元年でもあるわけです。

 このように、ITコーディネーターは、ITソリューションビジネスの担い手だけでなく、CIOの人材供給源としても期待されています。試験は、
・経営戦略策定
・戦略情報化企画
・情報化資源調達
・情報システム開発
・コミュニケーション能力
・コントロール能力
など多岐にわたって出題されます。また、資格取得後も実務学習・実務経験を積み、毎年資格を更新することが求められます。中小企業診断士、公認会計士に匹敵する難易度の高い資格となるでしょう。そして、今年10月21日、600名のITコーディネータが初めて誕生する予定です。キーワードは、「創新」「維新・伝心」。ポスターは坂本竜馬をイメージしています。

【なぜ日本はIT後進国となったか?】
 ITコーディネータ協会理事で公認会計士の松尾氏は、IT後進国となった理由について二つ述べています。
・「価値を生まないストック(ヒト・モノ・カネ)値下がりが止まらない土地・株、過剰な株・回転しない資金・不良債権、陳腐化した設備/IT、そして変われないヒト」
・「特定の世代 55−65才の人がさぼっていて、ドッグイヤー・マウスイヤーとも言われる急激な変化においついていけなかった。」
いつの時代も走ることはやめられないんでしょうね・・・