無線LAN

 次世代携帯電話FOMAが今年10月1日から正式にサービス開始されました。「FOMA活用を考える企業ユーザーにとっての本命は、モバイルPCの高速インターネット接続」だと以前書きましたが、現在この屋外からの高速インターネット(ブロードバンド)接続サービスに強力なライバルが登場しました。それが、無線LANです。無線LANとは、IEEE802.11bという国際標準規格に準拠したネットワーク技術のことで、ワイヤレスブロードバンドの先駆的存在です。

 このスタンダード技術を利用して、モバイルブロードバンド接続サービスを提供しようとする会社がいくつか現れました。サービス内容は、モバイルパソコン用のFOMAとほぼ同じで、レストラン、喫茶店、ホテルのロビー、空港、屋外などから利用できます。また、ノートパソコンだけでなく、今人気のPDA(電子手帳)からも利用できるのです。さらに、ユーザー側から見てFOMAより優れているのは、速度と価格です。FOMAの3倍以上の速度(FOMAが384KBPSなのに対して、無線LANは1.5MBPS)で、基本料金2200円だけでOK。プロバイダー側から見ても、無線LANを利用したサービスでは常時接続980円でも利益が出るといわれています。現在数社が、こうした低価格・高速サービス開始に向けて、都内各所で実験の真っ最中です。

 マクドナルド1人勝ちのハンバーガー市場において、モスバーガーがIT武装を進めていることが先日ニュースで報道されていました。店内に無料インターネットパソコンを置いて、食事をしながら自由に食べられる店舗が成功している、というものでした。実はこれ、「ハイファイブ」というもののひとつなのです。これは、NTTコミュニケーションズが都内で実施している無線LANを利用したワイヤレスブロードバンドの実験名称で、今年の7月から開始しています。モスバーガーの都内5店舗と品川プリンスホテルが実験場所を提供、モニターに応募すれば誰でも実験に参加できます。既に2000人が実験に参加しています。モスバーガーは店舗のIT化を進めており、実験に積極的に場所を提供、店舗に付加価値をつけることで、集客向上を狙う戦略を展開しているわけです。ハイファイブの例として、その他には、IBMが京王プラザや成田空港などで、MIS(モバイルインターネットサービス)というベンチャー企業が三軒茶屋でそれぞれ実験中です。各社とも実験で利用者の反響などを集め、来年以降事業化に向けて動き出すものと思われます。

 この、NTTコミュニケーションズと組んだ実験以外にも、NECと組んで、キャッシュレスドライブスルーの実験を、江ノ島で実施中です。他社に先駆けた先進ITの活用には、「ベンダーとの協業」「実験」が大切になってきています。

こうなるとサービスを開始したFOMAの存在意義が不明確になってきてしまいます。すでに懐疑的な意見がいくつかあり、「NTT史上最大の失敗であるISDNの二の舞」とも言われています。NTTがインターネット接続技術としてISDNにこだわったために、ADSLの普及がおくれ、結果として日本がインターネット後進国になった、と言われてしまった二の舞になってしまう、と。一兆円を投資して、FOMAで世界制覇の野望に燃えるドコモ。300億円の投資でFOMAと同様のサービスを事業化中の無線LAN陣営。モバイルPCの高速インターネット接続を考える企業にとってFOMAは本命ではなくなった一方で、ドコモはiモードやiアプリなどで多くの一般顧客をつかんでいます。無線LAN陣営からみれば、魅力的なコンテンツ提供と、サービスエリアの短期拡大が成功の大きな課題になるでしょう。